未来眼鏡

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やっとの思いで家に着いた。 眼鏡をして鏡を見た。 やはり眼鏡しか映っていない。 よく鏡をみると後ろに背中をナイフで刺され倒れている自分が映っている。 急いで部屋の外にでて、眼鏡をかけた。 そこには飛び降り自殺をする自分の映像が映っている。 どうやら何があっても、私は今日、死ななければいけないようだ…。 諦めにも似た感覚で途方にくれ、どこに行くでもなく歩いた。 すると誰かに肩を叩かれた。 恐々と振り向くと、辞めた会社の上司だった。 大失態だと思っていたお客との会議は、翌日、自分の発言を思い返し、より一層深い付き合いを誓ってくれたお客との関係で、会社の業績は何十倍にも膨れ上がったそうだ。 そういえば、さっき落ちてきた看板も辞めた会社の看板だった。 上司は何度も礼を言うと去って行った。 ふっと、気付くと駅のベンチに座っていた。 きっと最初に見た電車に飛び込んだ男性の映像は自分だ。 その後、女性が飛び込んだので、酔っていたせいで見間違えたと思っていたが…。 女性がスレ違い様に、私をみて笑っているように見えたのは、彼女には私が飛び込み自殺をするのが見えていたのか…。 そして、眼鏡をベンチにおき、電車に飛び込んだ。
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