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「……難儀だな……」
ぽつり、呟いた声は無意識で、それが何に対してのものかも、どうしてなのかも解らなかったけれど。
なんとなく――なんとなく、思ったのだ。
周囲と話が合わないだとか、価値観に違いがあるとか、その所為で孤立してしまう形になってしまっているだとか。
そんなことが些細なことと思えてしまう程に、これからの毎日の方が、……なんとなく、精神的に更に辛いものになりそうだ、と。
けれどもそれと同じくらい、複雑な感情に振り廻されながらも、胸がいたく、胸が温かくなる時間を過ごすことになるのだろう、と。
近い未来の予測ではなく確定に、荊棘はひそりと、溜息をついた。
見上げればそこに、青い空と輝く太陽。
爽やかな風にさらり髪をなびかせながら。
温かく柔らかな陽の当たる場所。
それら全てが――我ら愛おしき、花咲ける日々。
了
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