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神の居城、ヴァルハラー。
日本とアメリカ大陸を直線で結び、約1対2の比率の距離に存在する。
実際には、ヴァルハラーと呼ぶのは、神の居住拠点が存在する孤島全体を示し、だが、神がそこに存在するために行う行動範囲はそれに遠く及ばない。
そもそものところ、神の居城ヴァルハラーとは、その名の通り、神の住む拠点地域である。
とは言っても、古代ギリシャにあるような石で作られた巨大な神殿があるというわけではない。
寧ろ例えるならば、グリム童話にあるヘンゼルとグレーテルが迷いこんだお菓子の家のように、深い森の中に神が鎮座するのは、小さな屋敷だ。
神にとって、巨大な神殿のようなものは必要が無いからだ。
ヴァルハラーは、強力な黒魔法の行使荷より、その存在が闇に包まれている。
もちろん明るさの事ではなく、実態に対する情報量のことだ。
まず、普通の人間には視認どころか第六感のような特別な器官をもってしてもその存在に気付くことすらない。
だから門前に兵を敷いて敵からの攻撃から身を守る必要もないし、ましてや神が巨体をもっているわけでもない。
神と言っても、神話に出てくるような例えばゼウスのような巨人ではないのだ。
言わば、あくまでも人工的な神。
ゼウスのような神も、人が人工的に作り出した虚像に過ぎないのかもしれないが、それとはまた事情が違う。
そこに鎮座する神は、人の形を保ち、人の知恵を持ち、遺伝子的に人なのだから。
小さな窓から射し込んだ光が照らし出すのは、幼稚園児とも思えるほどの幼い顔立ち。
しかし、彼女こそが『反量子力学』という人の文明から離れた文化を極めたエキスパートであり、『神』と呼ばれる存在なのだ。
『神』は自らの座る木製の椅子の上で足をバタバタと動かしながら、不快感に顔を歪ませる。
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