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少女が操ったのは、高出力のレーザーでもなければ、未元物質でもない。
自然界に存在する、"ただの"風である。
それ単体は、自然界にあるごくありふれた、自然の一部。
もちろん、風単体というわけではない。
いや、物理的な観点から見れば、風以外に少女が操ってはいなかった。
物事を物理的にのみ解釈しようとすれば、その現象に対しての答えは確実に帰っては来ない。
なぜなら、少女が風と共に操っていたのは、自らの"意思"。
正確に言えば、意思によってねじ曲げられた、見えない力。
それは、少女が思考をすることなく、受動的に行動した結果であった。
あくまでも"受動的に"である。
少女を注意深く見てみると、瞼を閉じていることが分かる。
なのにも関わらず、少女は見事ビームを落として見せた。
これは、少女が受動的に行動していた結果とも言える事実でもある。
よく見ると、覇埜小の周りに立っている他の少女達も、瞼を閉じている者が大半を閉めていた。
瞼を開けているのは、覇埜小を含めて若干名だけで、俺を除くその若干名も、目を使って何かを見る、というわけでは無い。
その必要が無いからだ。
覇埜小を囲むように立つ少女達は、ただ祈っているのだ。
覇埜小と同じように。
けれど、覇埜小とは多少違った願い、意思を。
"ただ、敵の攻撃を全て排除できる"と。
だから、あくまでも受動的。
今ここにいる中で、能動的な意思を掲げているのは、覇埜小ただ一人。
そして、覇埜小が掲げるその意志は、
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