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ーータッタッタ
「ハァハァ…!!」
走る。何故走っているか?
追いかける為ではない、逃げる為だ。
ーータッタッタ
「おい、見つかったか!?」
「駄目…見当たらないわ」
「だが、そんなに遠くには行ってないはずだ。探すぞ」
ーータッタッタ
頭の悪い大人が何人集まっても私を捕まえられない…非常に滑稽だ。人数を集めたら子供1人くらい簡単に捕まえられるだろうと言う浅はかな考え。
全く、大人というのは馬鹿でずるくて…大嫌いだ。
「ハァハァ…しんど…」
しかし、子供と大人の体力の差は歴然としている。このままでは捕まるのも時間の問題だ。
ーータッタッタ
ふと前を見ると古いアパートが建っている。丁度いい、体力も限界に近づいているし逃げ込むには最適な場所だ。名前は…『あっ荘』
「ハァハァ…ふぅ……よし、走るか」
「ここ辺りはどうだ?」
「よし、探そう」
近くで大人の声がする。どうやら私に選択肢はなくなったようだ。
部屋の中に入り込もうとするが、鍵が掛かっている。当然の事と言えば当然なんだが…どうしてどの部屋も留守なんだ。
半場諦めかけていた私は最後の部屋のドアに手を掛ける。
ガチャ、キィ…
「あ…」
これがこの物語の始まりである。
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