相合い傘

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雨は降り続ける。 灰色に覆われた空が青を見せる気配はない。 左は雨、右は彼。 私の幸せな時間。 その時間は永遠に続くものではない。 それでも、彼と過ごせるこの時間は私にとっての最高の時間。 雨の日。 それは、一般的に憂鬱で何だか気分が落ち込む日。 だけどそれは、神様が私だけにくれた大切なプレゼント。 空から落ちた雫が私たちを包む傘に静かに音をたてて落ちる。 私は彼が濡れないように再度きちんと傘を持ち直し、ゆっくりと一歩を踏み出した。
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