相合い傘

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「何か顔赤くない?大丈夫?」 俯いた私の顔を覗き込みながら彼は言う。 「何か暑くない? それに、私もともと顔赤いし。普通だよ?」 …もう、理由なんか言えるわけないじゃん。 私は心の中で、そう毒づきながら彼から逃れる。 「んー、確かに暑いかもな。」 彼はそういってまた前を見て歩き出す。 「……鈍感。」 彼に聞こえないように小さな声でそう呟き、私も彼に合わせて歩き出す。 しとしとと降る雨は私の左肩を濡らす。 …傘、案外小さいな。 家に帰ったら制服ちゃんと乾かさなきゃ。 私はそう思いながら、また彼の右肩を確認した。
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