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桜の花びらが、これでもかと言うほど沢山、散り落ちてきていた。
まさに、桜吹雪という言葉が相応しいーーそんな光景が目の前に広がっている。
そして、その桜吹雪の中に一人の少女が顔を俯かせて体を震わせていて……彼女の足元には、ぽたり、ぽたり、とリズムよく雫が落ちてきていた。
彼女をこういう風になっているのは自分自身、ということは分かっている……けれど、それをどうにかすることもできないことも、十分に理解していた。
だから、俺は一言だけ、ゆっくりと小さな声で、独り言のように呟いた。
「じゃあな、ーー」
沢山の桜の花びらは、まるであられのような勢いで降り注いできていたーー
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