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第一章 日常
窓辺から差し込む柔らかな日差しーーそれをうけながら、心地よいまどろみを味わっていた俺に、突然、鋭い爆音が襲いかかってきた。
音の根元は分かっている。
枕元に置いてある目覚まし時計だ。
朝に弱い学生の必需品ーー遅刻を回避させてくれる頼もしいアイテムだが、正直、腹が立つことがしばしばある。
特にこういう心地よいまどろみを味わっている最中の時に、それをぶち壊されると苛立ち以外に、なにを感じられようか……
せめて、あと五分待ってくれれば……と常々思うけれど、この気持ちに忠実になると、無限ループに入って遅刻が確定してしまうので、そろそろ起きることにしよう。
目覚まし時計も五月蝿いことだし。
「んっ、うあ~、ねむ……」
寝起きの重い体を強引に起こして、固まった体を軽いストレッチで解す。
春特有の眠気がしつこく襲ってくるが、それをどうにか振りほどいて布団から抜け出して、軽く頬を叩く。
視界と思考が鮮明になっていく中、ふと誰に言う訳でもなく呟く。
「それにしても、もう二年生なんだよなぁ」
特に意味があるわけでもなく、ただ自然とそんな言葉を零していた。
二年生ーーその言葉が示すように俺は学生であり、その中でも高校生に分類される学生だ。
まだ二年生になりたてほやほや……だけれど、高校二年生と言ったらもう将来について考え始めなければならない、たとえなりたてであっても、である。
まあ、これと言った夢や目標のない俺は普通の日常をこれでもかと言うくらい怠惰に過ごしているのだが。
なんにせよ、今日も今日とて、だらけた高校生活を謳歌する為に、学校にいく準備を始めるのだった。
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