エピローグ 2099年7月

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 Drフナコシは再び姉の写真を眺めた。 「神が残酷な万能薬をばらまいて、私たちがこうして油断するのを待ち構えているとは誰もおもわないようですよ。姉さん。けれど、私がこうして、生き続けているのは、どんなに笑われようとも石器時代の治療法だと言われようとも、来るべき時のために自分を貫くためだと思います」  姉の写真をそっと指で撫でてから、外した老眼鏡をかけなおし、仕事に取り掛かり始めた。彼の記憶にはいくつもの絶望があった。妻は十年前に先立ち。孤独だった。  けれども絶望の先に何があるのかを彼は知っていた。  希望。  それだけが年老いた彼をかりたてる鞭なのであった。 …………完…………
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