エピローグ 2099年7月

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 レイチェルが笑うのをDrフナコシは冷ややかに眺めた。  彼は今でも思い出すのだ。姉の最後の一年の事を。あっという間に老いて、死んでしまった。その彼女が言い続けたのだ。 「みつくん、柏崎先生が言ってたの『医学は決して歩みを止めてはいけない』って。私もそう思う、もしかしたら、私はとんでもない事をしてしまったのかもしれない。みつくん、見届けてね」  姉はとても美しいひとだった。心の強い人だった。医師を志した時に目指したのはGDSの解明だった。しかし、姉の言葉を何度もかみしめるほどに、姉の言いたかったことは本当は恐ろしい予言なのだと悟ったのだ。 .
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