エピローグ 2099年7月

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「レイチェル。寿命も、出生率も、世界各地の人口密度も100年前と現在では比べ物にならないんだよ。それも、原因不明の現象のせいで」 「Drフナコシ、100年前と200年前と比較しても比べ物にならないはずですよ?」 「すまない。君に理解してもらうのは研究よりも困難なようだね」 「そうみたいですね。Drフナコシ、コーヒーでも飲みましょうか?」 「ああ、頼む」  レイチェルはこの老医師が狂っているのではないかと疑ってはいるものの、老医師をいたわる優しさは持ち合わせていた。レイチェルの姿が見えなくなるとDrフナコシは、デスクの椅子に深々と腰を掛け、飾られている写真を眺めた。
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