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Drフナコシはもう一枚の写真を眺めた。そこにはまだ若い、姉とその夫が写っていた。姉の夫も姉がなくなってから、生涯独身であった。そこから、様々な家族写真を眺めた。自分と妻、5人の子どもたち。そして孫たち。
長男がGDSだった。亡くなった時、体の一部ををえぐり取られたような気持だった。末娘もGDSだった。次男の長女。彼の最初の孫娘が亡くなった時は息子夫婦が哀れで、言葉も出なかった。沢山の人間を見送った。彼だけではない。GDSの子どもを持つ親たちはみな見送った。
けれども、人間には悲劇にさえ慣れてしまうしたたかさがあった。この原因不明の恐ろしい現象を人々は次第に受け入れたのだ。
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