プロローグ 1999年7月

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 この車の持ち主こそが、後に彼を養子に迎えたゴードン夫妻である。警察官たちは彼に罰を与えるべきだと、ゴードン夫妻に主張したがゴードン夫妻はそれを取り合わず、無罪放免にする代わりに、ちょっとしたテストを受けて欲しいと、少年エリックに告げた。彼はテストを受けた。少年エリックのIQは常人とはかけ離れた物だった。ゴードン夫妻に関わっている人々は皆、野生の狼のような目をした少年を里子にするべきではない、口を揃えて言ったが、ゴードン夫妻の決意は頑なだった。 「この子に必要なのはチャンスで、それを与えてやれるのは、たまたま彼の目につく所に車を停めた私達だけに違いない」  Mr.ゴードンは反対する人々に常にそう答えた。
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