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「………良くここまで来たな……。」
目の前に居るのは上下ジャージに片手に竹刀。ザ・生活指導の先生という格好ながら、流れる黒い長髪、開けたチャックから覗くボリュームのある谷間、スラリと伸びた肢体。そして若干の緊張の為かいつもより引き締まった端正な顔立ちがその隠せない女性としての魅力と仁王の様な迫力を押し出している。
俺はその迫力に怖じ気付かずに口を開く。
「悪いな。どうしても行かなくちゃ行けないんだ。」
ここにたどり着くまでに犠牲になった奴らの顔が脳裏を横切る。
あいつらの為にも……俺はここを突破しなければならないんだ!
「ふん……悪い冗談だな。まさか、たった一人で私に勝てると?」
奴の顔に嘲笑が浮かぶ。
でも大丈夫だ。
戦いが始まった瞬間に奴の顔は苦痛に歪む……!
「前置きは良い、とっとと始めようぜ。」
スッと俺はファイティングポーズを取る。
武器は何も持っていない。相手は女性とはいえ竹刀を持っているうえにその道のプロだ。
しかし、初太刀を避けられれば俺の勝ちだ……!
「よし、良いだろう。負けたら潔く帰るんだ。」
「勝ったら……通してもらうからな。」
「あぁ、勝ったら……な。」
奴は再び嘲笑を浮かべる。そして。
「やっ!!」
片手でぶらぶらさせていた竹刀がいつの間にか両方の手に包まれて加速する。
不意討ちだった。
………でも、これなら!
自分から見て左下から右上に切り上げられたそれを寸でのところで右下に避けて懐に飛び込む。
「なっ………!?」
そして彼女の脇腹に
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