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「冷えてきたなあ。」
総司が呟いた。
「そうだな。」
隣にいた土方は忙しそうに筆を動かしながら答えた。
古の京に冬が訪れようとしていた。
「藤堂さん。大変だろうなあ。」
藤堂は江戸に進入隊士を募集しに行っている。
「どんな人を連れて来るんでしょうか?」
総司が落ち着きなく言った。
「…一人は伊東という奴。」
土方が忌々しいように顔をしかめて言う。
「伊東さんって言うんですか?…土方さん、奴ってなんですか、奴って。」
総司が失礼だと言わんばかりと怒った顔をする。
「…気に食わねえ。」
そう一言だけ呟くと土方は筆を置いた。
「伊東さんがですか?会ったこともないのに?」
「噂では奴ァ、北辰一刀流の道場主で、神道無念流を納め…「すごい人ですね!!なんで嫌いなんですか!!」
「最後まで聞きやがれ。…尊皇攘夷なんだよ…奴ァ。」
「ふーん。なんか良く分からないですけど、一揉めありそうですね。」
総司はあまり興味ないという感じで言った。
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