―押せ―

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「こちらの仕事などいかがでしょうか」 断る間もなく、黒野は一冊のファイルを取り出すと、ガラステーブルの上にそれを開いて見せた。 「こちらでしたら、大して身体を動かすこともしませんし、実際の労働時間も移動等を含めて五時間ほどですよ」 つられるように、指差す先を覗き込んだ。 《プッシュマン》 "日給制" ...と、書かれていた。 日給制というのは、早急にお金が欲しい自分にとって正直ありがたい。 だが、プッシュマンなどという仕事は、聞いたことがない。 果たしてこれが、どれだけの労働になるのかすらも想像がつかなかった。 『これ、一体何の仕事なんですか?』 .
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