―押せ―

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プッシュマン... 名前から想像すれば、何かを押す仕事になるのだろうか。 押す仕事...考えつく限り、エレベーターガールくらいしか思いつかない。 もしくは、何かを推薦する仕事なのか? 「気になりますか?」 『いや、まぁ...そりゃもちろん。聞いたことないですし』 そう答えると、黒野は満足そうに笑みを浮かべた。 「どんな仕事かは口で説明するより、実際に体験して貰ったほうが早いですね」 そう言って黒野はその場を立ち上がり、部屋の奥へと歩いて行くと、壁についていた何かを操作した。 微かに機械音が聞こえたかと思うと、ゆっくりと壁の一部がスライドした。 ここからは本棚で隠れて見えなかったが、どうやら奥にもう一つ部屋があるようだ。 「ついてきてください」と、言って黒野の姿は見えなくなった。 相変わらず不安が消えることはないが、断りきれない太一は、恐る恐る黒野の後をついてった。 .
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