―押せ―

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「どうぞお入りください」 手招きされて、部屋の中を覗き込んだ。 約四畳ほどの広さ。家具などは一切ない。 それどころか、壁紙が貼られていないため、四方の壁はコンクリートが剥き出しで、まるで牢屋のように冷たい印象を受けた。 「この部屋は、実際に仕事をしていただく場所を真似て作られています。もっとも、実際の部屋はこれの半分もないスペースなんですがね」 半分...ということは、二畳もない狭い部屋になるのだろう。 一体、このような場所で何をするというのだろうか。 「こちらをご覧ください。壁にボタンがあるのが解りますね」 確かに、丸いボタンが横並びに三つ付いていた。 それこそ、エレベーターのボタンのようだ。 そのすぐ上には、小さなパトランプが付いている。 .
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