1038人が本棚に入れています
本棚に追加
夜の校舎の不気味さはどこの学校も同じで、昼間が賑わっている分、夜の静けさは違和感として恐怖を与える。
「異常なーし。次行ってみよー」
正直少しテンション上げながらじゃないとやってられない。
だいたい見回りの終盤辺りに差し掛かったときだろうか?
普段使われない空き部屋の見回りをしていたら……
「ぅ……」
こんな感じの呻き声が聞こえてきた。
ま、まさか幽霊か!
お、落ち着け俺!
ここは異世界だ!
そんなものいるわけ……むしろ居そうだな。
「ぅう……」
ともかく俺は有りっ丈の勇気を振り絞って声のするところへ向かった。
「なっ!おい大丈夫か!」
そこにはおどろおどろしい白い着物を着た髪の長い女の幽霊ではなく、ライトブラウンの髪色の少年が傷だらけでうずくまっていた。
重い思いをしながら苦労して俺の部屋まで連れ帰り少年の手当てをする。
「いつっ……」
「ちょっと我慢しろよ」
少年の印象としてはうっかりすると女と間違えてしまうかもしれない女顔、身体の線の細さが更に少年を女っぽく見せてる。
ちなみに一物があるかちゃんと確かめたので男装女子の可能性はない。
「お前どうしてあんな所に倒れてたんだ?」
「……」
「言いたくないか」
少年は黙ったままで何も言わない。
「とりあえず、紅茶飲むか?差し入れで貰ったものだけど中々美味いぞ」
「……」
ここまで無反応だと対応に困るな。
最初のコメントを投稿しよう!