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初めに自己紹介をしておく。
俺の名前は“坂田航(さかた わたる)”。
柔らかい髪質と若干つり上がった目から黒狐とよく言われる。
現在絶対零度の少女に攻撃されようとしている。
「私と勝負しろおおおお!」
ビキビキパリパリと彼女の怒りに呼応して周囲が凍りついていく。
絶対零度と言っても性格のことじゃなく、彼女の現在の体表温度のことだ。
「少しは他人の迷惑を考えたらどうだ?」
「私がアンタみたいな落ちこぼれに負ける訳がないでしょ!!アレは何かの間違いよ!!」
だからと言って俺を殺そうとしないで欲しい。
割と切実に!
既に俺は寒さのあまり死にそうだ。
「死ねぇえ!」
「生きる!」
俺は教室の中で吹雪が巻き起こる前に四階の窓の外から飛び降りる。
「逃がすかぁ!」
飛び降りたのを見て彼女も焦って俺を追って窓の外へと飛び降りた。
「せめて、広い場所に出て欲しかったわ……」
俺はひょっこり教室の掃除用具入れから姿を現す。
俺がさっき飛び降りたのは間違いない。
だが今は教室にいる。
これが俺の力とも言うべき物の一端だが如何せん使い勝手が難しい。
それについては追々説明していくことになるだろう。
さて、このようなことになった原因は桜舞う季節、ちょうど3ヶ月前の出来事だ。
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