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「貴様が息子をいたぶったと言う用務員か?」
「そうなりますかね」
赤髪の父親はしばらく俺を観察した後拳を握り締める。
さすが大貴族の当主。
俺がどういう存在か見ただけで分かったようだ。
「マルコ……」
「はい、父上」
赤髪の父親はギロリと息子を睨む。
「貴様はこんな者に負けたのか!!この一族の恥曝しめが!!」
赤髪は突然の父親の憤怒に目を丸くして驚く。
「魔盲に負けるなど前代未聞だ!どうやら甘やかし過ぎていたようだな!卒業までは金を出してやる!だがな!二度と我が家名を出すな!そして二度と我が屋敷に帰って来るなッ!!」
この国の貴族の大半は戦争で手柄を立てた者達だ。
だからこそ貴族達の思想の根底に強さこそ全てというがある。
魔盲、つまり魔力0の強さの欠片もない奴隷以下の存在に負ける事などプライドの高い貴族が許せる訳がない。
「ま、待って下さい父上!」
「父上と呼ぶな!もうお前は息子ではない!」
俺の脇を抜けて部屋を出る赤髪と赤髪の父親。
とりあえず言って置きたい。
「ざまぁ」
「ふむ、問題児が減ってやりやすくなるよ……そうだねぇ。ワタルくんに何かあげなくちゃねぇ」
ハゲが目立つおっさん理事長が机の中をゴソゴソ漁る。
「あっ、私の行きつけの骨董屋があるのだが……今度そこへお使いに行ってきてくれないかな?」
理事長に骨董屋への手紙と、簡易的な骨董屋への地図をもらった。
えー何かくれるんじゃ無かったのか?
「きっちり10日後、遅くても早くてもダメだからね」
理事長はそう言ったのを最後に仕事へ戻って行った。
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