ファンタジーな世界に突き刺さる

4/7
前へ
/336ページ
次へ
「オェエエエエエエエ!!」 突如強烈な吐き気が俺を襲った。 身体が魔力という異物に対して拒絶反応を示している。 口からは胃液とか出ていないが、何かを吐き出している感覚はある。 身体の中から魔力(おそらく)をすべて吐き出すと、さっきまでの吐き気は嘘のように消え失せた。 「……他人の魔力に拒絶反応を示す事例はよくあるが、ここまで強烈なのは初めて見たな」 「そう……ですか」 「ところで魔力の感覚は分かったか?」 「………」 魔力の感覚は分かったが、体内に魔力と思わしきエネルギーが一切感じられない。 「魔力ないっぽいです」 「そうか。じゃあ論外だ。試験はこれにて終了」 まさかの論外通告!? 「ままま待ってください!15歳の身寄りのない少年を見知らぬ土地に放り出すんですか!?」 学歴社会を生き抜く日本の高校生は中卒で生きていけるほど世の中甘くないことを知っている。 それにこの世界魔法使えないと激しくヤバい気がする。 例えて言うなら小学生の時に習う九九ぐらい重要な気がするんだ! 「そこまで鬼になったつもりはない。生徒になることは出来ないが、ちょうどいいのがある」 「ちょうどいいの?」 一時間後、俺に手渡されたのは執事服っぽい物だった。 「先月うちの用務員が定年退職して代わりを探してたんだ」 さすがにこれは用務員の服装には見えないな…… 「具体的に俺って何をすればいいんですか?」 「庭園の手入れ、備品チェックと夜間の校内の見回り。あとは自由にしていい」 夜間の見回りは警備員の仕事じゃないのか? ともかく、俺は異世界にて安定してるかどうか激しく不安だが職業を手に入れた。
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1038人が本棚に入れています
本棚に追加