ファンタジーな世界に突き刺さる

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服を手渡された初日、俺が最初にするべきことは寝泊まりする部屋の掃除だった。 部屋はワンルーム、キッチンとトイレとシャワールームは独立している。 一人暮らしなら申し分ない部屋だろう。 「さて、掃除始めるか」 俺は箒を手に取り部屋に溜まった埃を掃いていく。 掃除の最中時折生徒が俺の部屋の前を通る。 部屋と言っても校内だから仕方ないか。 一応、ワンルームと言っても畳部屋ではなく靴で入室する洋式タイプ。 ベッドやらテーブルが置かれてるので若干狭く感じるが、退けると案外広いかもしれない。 あと部屋を掃除していて気付いたのだがこの部屋にはコンセントと呼ぶべき物が一切見当たらない。 だがその割には水道がしっかり整備されている。 ギリギリ生活に困らないってところか。 「よし!粗方綺麗になったな」 清掃時間約40分 歩いたら埃が舞うような初期状態とは見違えるほど綺麗になった。 で、次はさっそく仕事か…… 「なるほどな。備品チェックで仕事が一括りにされる訳だ」 このテキストボードの上から下までずらーっと並んだチェック欄の多さ…… 引っ越し前の荷物チェックなんて比にならないくらい多いんじゃないか? ともかく衣食住を確保するためには働かなくてはいけない…… じゃあ死事に向かいますか…… 時が流れるのは早いものでここに来て一週間が経過。 作業に手慣れてきたのか、だいたい5時間半で仕事が終われるようになって時間に余裕が出来てきた頃から、段々とこの学園のことが分かってきた。 まずこの学園の生徒は身分の高い者達、世間一般でいう貴族と呼ばれる人が多く通っている。 一応平民も半分くらい混ざってはいるが比較的富裕層が多い。 仕事の都合上教室の前を通って移動することもあるのだが、その度に自分が虚しくなってくる。 本当なら俺もこうやってたくさんの級友に囲まれながら、眠たくなる授業や大変な部活なんかに勢を出していたはずなのに……
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