ファンタジーな世界に突き刺さる

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働き始めてどんなに学校が楽しい場所なのか身にしみて分かったわ。 「あいつ、何やってるかなぁ」 俺がここにくる原因の一端を担った悪友のことを思う。 俺が異世界に飛ばされたことで自分を責めるようなことをしていなければいいんだが…… 帰る方法が分からなくても、せめてあいつに俺の無事を伝える方法くらいは見付けたいものだ。 でもなぁ……… ここの人達の認識は俺が見たこともない新大陸から来たってことになってる。 この前ここの教師に帰る方法探したいとか言ったら船を貸してやるって言われた。 船で異世界渡れたら苦労はせんわ!! こうなった以上俺一人で探すしかないな。 序盤の選択ミスの痛さを痛感しながら俺は今日も深夜に図書室に籠もる予定。 「ん?ドラゴンの骨粉が少ないな」 この粉は魔法薬の授業で使われる。 確か……高級な魔力を回復させる薬に使われるそうだ。 本日の授業でこの材料を使ったのはこの教師だけか…… あの人がね…… 俺は教師の寮のある一室に侵入した。 「フフンフーン、わーいドラゴンワインのかんせーい!」 自分一人で拍手している可愛らしい教師の肩に手を置く。 「メリエさん、そのワインに入れた薄灰色の粉は何ですかねぇ?」 ビクッと肩を震わせてメリエさんと言う教師が後ろを振り向く。 エメラルドグリーンの肩で切りそろえられた髪、比較的小さな背、幼い顔立ち、そして小振りな胸。 おおよそ三十路に見えない若々しい教師の顔にダラダラと冷や汗が伝う。 「ど、どうやってこの寮に侵入したんですか?」 「生憎魔力0なのでセキュリティーに引っ掛からないんですよ」 そう、この世界のほぼ全ての物質には魔力が含まれている。 この学園は魔力の動きでセキュリティーが発動するので俺はセキュリティーに引っ掛からないのだ。
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