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僕には一人、後輩がいる。
確かに後輩だと認めているのは、唯のそいつだけ。
というのも、僕の設立した倶楽部があるのだけれど、彼女と僕だけが在籍しており、僕が関わりを持つ後輩は、哀しいかな、彼女の他誰一人いないからだ。
普段、放課後になると僕は部室へ向かう。
下級生との交遊が極端に少ないだけで、同級生には信頼にたる友も何人かはいる。
それでも僕の友達が少ないことは変わらないのだけれど。
彼らとHR後に談笑した後、部室へ向かうのが僕にとっての、日課とも言える学校生活の基本形だ。
そして、僕が部室に着くと鍵は当然のように開いており、ノックも何も無しに入室する。
すると、後輩である彼女は大概が読書中で、入ってきた僕に対し本に目線を落としながら、「あ、どうも。」という一言の後、栞を挟み本を閉じる。
そのすぐあとに、昨日のテレビがどうだとかと世間話が始まる。
僕らの部活動なんてこんなものなのだ。
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