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先輩。無論僕の事だ。
彼女が後輩なのだから、僕が先輩。
当然だ。
しかし、僕は彼女を後輩とは呼ばない。
彼女にはちゃんとした名前があるのだから。
僕にもあるけど。
「香月。一体どうした。今日は読書はしていないのか?」
僕の時間感覚が正しければ、今は六月のはずだ。夏も目前。でないにしても気温は暖かい。
だが、目の前の香月は首にしっかりとマフラーを巻いている。
「そのマフラーよく似合ってるぞ。だが、今の季節にわざわざ見せる物でもないだろう?」
「ち、違いますよっ!これ、先輩がやったんですか!?」
すぽん。巻いていたマフラーをそのまま脱ぐ形で首から除ける。
露わになった香月の白い首。
なんだか官能的だ。
しかし、いつも見ている首とは違う。変わらず白いし、ショートカットの髪の毛がかかっているし、何も変わらないように見える。
しかし、香月の首にはネックレスと呼ぶにはどことなく『Mr.レフトハンド』に似たものが装着されていた。
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