ひとつ

希望

それから一週間くらい経った後、俺は仕事が忙しく病院に行けない日が続いた。

数日経った後やっと病院に行けた俺はまた彼女に話かけた。

この日は休日だったので朝から病院に行っていた。

看護師さんが検温に来る。

軽く挨拶を済ませた後、

『最近お見かけしませんでしたがお忙しかったですか？』

と声をかけられた。

俺は看護師さんの間でちょっとした話題のネタになっている。

『えぇ、忙しくて顔出せませんでした。』
『彼女に何か変わった様子はありましたか？』

と俺が聞くと

『特に変わりはありませんでしたよ。』

とこちらを気遣うような笑顔で答えてくれた。

やっぱり…

何もなくて良かったという安堵と、回復はしないのかという落胆の混じった溜め息をついた。

看護師さんは点滴を素早く交換しながら話題を変える為、最近寒くなってきた事、病院の木も紅葉が始まってとても綺麗だから気晴らしに散歩をしてみてはどうかと話してくれた。