希望

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点滴の交換を終え、看護師さんが病室を出ようとした時 『あ、そうそう。』 『関係はないと思うんですけど、ここ数日夜の見回りに彼女の様子を見に来ると左手の人差し指だけがピンと伸びているんですよねぇ』。 『朝は夜直した通り握られているのに。不思議ねぇ。』 と言って、看護師さんが病室から出ていった。 俺がもしこの時後ろを振り返って喋っていたなら看護師さんはきっと驚いただろう。 俺はうつむきながら流れる涙を止める事も出来ずただ呆然と泣いた。 彼女の左手の人差し指、それは俺が毎晩帰るまで彼女と話している時ずっと握りしめ、さすっていた指だった。 意識がないはずの彼女が無意識にでも俺を探していたのだろう。 いや、もしかしたら動けない・喋れないだけで彼女の意識はあるのかもしれない。 声にならない声で彼女の名を呼ぶ。 肩を揺らすがやはり反応はない。 俺は嬉しくて涙が止まらないのか、彼女が不憫で泣いているのか。 まだわからないでいた。
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