濁った空模様

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「とにかく怪我がなくてよかったよ、ほんと」 雨でびしょびしょになりながらも海斗はかるく微笑んで言った。 雨の音が変わり勢いを増す。 「あの…、やっぱりそれじゃ風邪ひきますよ?」 「……………」 雨は無情にも強くなるばかり。海斗の私服は搾ればかなりの水がでるほど濡れる。 「…じゃあ…そこの…ガソリンスタンドまで…お願いします…」 格好のつかない海斗だった。 ガソリンスタンドにつくとスタッフに頼んで灯油をいれて貰った。 入れて貰っている間はガソリンスタンドの店の中で女子高生にコーヒーを買ってあげて雨が弱まるのを待った。 「コーヒー、ありがとうございます」 「いいよ、わざわざこんなとこまで来てくれて…」 「いえ、バイト帰りだったので…」 「その制服って翔南高の…だっけ」 「はい、三年の北村 梨絵っていいます」 「俺、隣町の川西高三年の相沢 海斗。三年ってことはタメだね」 「あ、高校生だったんだ。雰囲気が大人っぽくて大学生くらいの人かと思った」 梨絵は海斗が高校生だとわかると急にタメ語になり表情が柔らかくなった。
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