人生2度目の嫉妬と独占欲

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(岳も、会いたか) (それ以上言うな、バカ!!) 恥ずかしくなって 俺は大声を出して言葉を遮った。 (嬉しい…) (は?) (岳も…あたしに会いたいって思ってくれてた。あたしだけじゃなかったんだ…) きっと 今、海は さっきよりも泣いてる。 泣かせてるのは あの 男ではなく俺自身。 もっと泣け。 あの 女好きの事なんて 忘れるくらい俺の事で泣け。 他の男の事を 考えて泣くなんて許さない。 海自身も 海の 涙でさえも俺のモノ。 (岳…) (何?) (抱きしめて…) 海は 弱々しい声で言った。 俺だって 海を抱きしめてやりたい。 だけど どんなに足掻いても 今の俺には不可能な事だった。 (橘さんに抱きしめられたせいで、岳の感触…体温…消えちゃった…) (……) 何も言えずに 俺は 黙って拳を握りしめた。 何で 俺は県外の大学に 進学してしまったんだろう。 何で こんなにも海の事を 好きになってしまったんだろう。 何で 他の男が そんなに簡単に海に触れるんだよ。 沢山の“何で”が 次々と脳裏に浮かんできた。 (あたし、夏休みが始まったらすぐに会いに行くから。) (……) (だから、その時は、あたしを抱きしめてね。ギュッて強く強く抱きしめてね。) (あぁ。) 涙で震える 海の声が耳に響く。 (約束だよ…?) (あぁ、約束する。) 俺は 目を閉じて そっと海の 笑った顔を想像した。 .
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