2人が本棚に入れています
本棚に追加
それは
小さな野うさぎだった。
「はぁ…」
驚きと安堵でため息が出た。
人間じゃないことにひとまず安心した。
そして、その野うさぎは
あちこち匂いをかぎまわり
また茂みの奥へと消えて行った。
力無く、その場に座り込んだ。
まだ心臓がドキドキする。
いつ殺されてもおかしくない状況。
最近、餓えたヒトが
ヒトを喰らう場面に遭遇してしまった。
恐くて恐くて、
必死にその場から逃げた。
ーーーもう、誰も仲間はいないんだ
そのときから、私は
単独行動を始めた。
一人でいれば、
裏切られることはない。
共食いされることもない。
そう、だから…
「…ぃ、おい」
「えっ」
最初のコメントを投稿しよう!