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本当に何でも叶えられるとでもいうのか、青い鳥はただただレイティの言葉を待っていた。何を言われても、目元がぴくりとも動かない。そんな予感がする。けれど、子どもたちの思い描いたそのどれもと、レイティの口にしたものは違っていた。子供たちは呆気にとられた。やはり、青い鳥だけは、それをただただ了承するばかりだったが。
『じゃあ、大男に食べられちゃったから、あれと同じパンを一つくれないかな。じゃないと、お母さんに叱られちゃうよ』
青い鳥は、それを小さなことだとも、大きなことだとも思ってはいないようだった。
『そうですか。分かりました。このあと、家へ帰ってみると良いでしょう。あなたの願いは、きっと叶っていますから』
きょとんとしていたのは、何もレイティだけではない。というよりも、子供たちの表情を、レイティが代弁しているかのよう。
『本当かなぁ? んー、分かったよ』
「レイティは本当かどうか分からずに首を傾げましたが、一緒に戦ってくれた、この青い鳥が嘘を吐くとも思えなくて、最後には頷きました」
『さぁ、君ももうお行きよ。今度は、大男に捕まったりしてはいけないよ?』
少し勇ましくも聞こえるレイティの声に、青い鳥はようやく目を細めて笑いかけた。
『分かりました。それではレイティ、さようなら。その勇気を、大事にしてくださいね』
青い鳥はどこまでも、どこまでも高く昇っていき、とうとう見上げるレイティや、子供たちの目にも見えなくなっていった。
ほうっ、と不思議な光景に子供たちは空を見上げたままで。『さぁ、急がなくっちゃ』とレイティに急かされるようにして、また彼へと目を戻す次第だった。
場面は移り、丘を蛇行して昇っていく道。その先には、レイティの小さな家が建っていた。
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