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2015年 秋葉原…
雑踏の中、ある一角のみがぽっかりと空いている。
白装束にチョンマゲ、右手に太刀をもったガタイがいい中年と鎧姿の美少年の二人がいたためだ。
「あの世とはおもしろきところよなぁ、蘭丸よ」
ガタイのいい中年、つまり織田信長は美少年に話し掛けた。
「はい、上様。」
美少年、森蘭丸は周りを警戒しながら答えた。
周囲には人だかりが出来ている。コスプレと勘違いしているようだ。
「あの~一緒に写メ撮らせて貰ってもいいですか?」
金髪のギャルが二人に近寄って声をかけた。
「しゃめ?なんじゃそれは?」
「役作りしっかりしてる。マジウケるんですけど」
「珍妙な言葉ばかり使いおる。よい、しゃめとやらをとらせてしんぜよう」
「上様!安易に受けてはいけません!」
止めようとすり蘭丸など意に介さず写メを撮る二人。
「うえさまアリガト~。ぢゃ、ここを見てね」
と、カメラのレンズを見るように促すギャル。
そして、カシャッと音がする。
その画像を信長にみせる。
「ほぉ、この箱の中に目で見ているような景色が写るのか。なるほど面白い!」
「うえさまホント面白いね(笑)」
「冥土とはおもしろきところよ」
「なんだ、うえさまはメイド目当てなの?ふーん、ぢゃあ私について来なよ!」
そう言うと手招きしながら歩きだした。
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