第三章

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士官学校が襲撃されてからひと月。ユフィア達は卒業を迎えていた。 ー士官学校大講堂 「我々、アストラル王国士官学校643期生は、4年間ここで学んだことを生かし、各自が己の持てる力を全て発揮できるよう、これからも国のため、民のため、そして自分の大切な人達のために、努力していきたいと思います。 生徒代表、ユフィア=クリフォード。」 壇上に立ち立派なスピーチをしたユフィアに、拍手が贈られた。 式を終えた生徒達が、共に過ごした仲間達や、お世話になった教師達と言葉を交わしている。 そんな中、ユフィアはヘレナと共にいた。 「ユフィア!さっきのスピーチ最高だったよ!」 「ありがとう、ヘレナ!…それにしても、無事に式が行なわれてよかったぁ!」 「そうよねぇ、あの襲撃から、もうひと月が経ったとはいえ、士官学校の一部はまだ復旧作業が終わっていない状態だし…」 ひと月前のあの日、風のエクリプショナーの少年に士官学校が襲撃されてから、復旧作業が日夜行なわれていたのだが、被害があまりにも大きく、ユフィア達の卒業式が行われない可能性があったのだ。 しかし、なんとか式を行うことができるほど復旧し、無事に式当日を迎えることができたのだった。 「ミュウ」 フィオーネがユフィアの足に擦り寄る。 「フィオーネ、中庭で遊んできたの?頭に葉っぱがついてるよ。」 そう言ってユフィアはフィオーネを抱きあげて、頭の葉を取る。 「その子、随分ユフィアに懐いてるねぇ。軍に入っても、寮の部屋で飼うの?あ、ユフィアは自宅からだっけ?」 軍に入隊すると、軍内の寮に住み通う者と、自宅から通う者に別れる。 「いや、寮で暮らすよ。毎日家から通うのは大変だし…。」 「そうよねぇ。でも、寮で暮らしている人は、家に帰るためには手続きをしないといけないのよねぇ…。」
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