1章 血を分けた者

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友紀「大守市から来ました、夏目友紀です。」 人生で何度繰り返しただろうか、片手では数えられない位繰り返した転校。 たった数週間のクラスとクラスメイト。 だけど、今回のクラスはいつもとは少し違う何かを感じた。 西村「おい、夏目だってよ。」 夏目「あ、ああ。」 教室の右後ろの男子2人がこそこそと何か話してるのが聞こえる。 先生「そうだな…席は…夏目の斜め後ろあたりでいいか。夏目と西村は席を持ってきてやってくれ。」 夏目「え?は、はい。」 西村「了解しました!」 さっき話していた2人が席を立つ。 そうか、彼も夏目という苗字なのか。 だからさっき、話していたのか。 +*+*+*+*+*+ 笹田「夏目さん、私学級委員長の笹田。よろしくね。」 HRが終わってすぐ、メガネをかけた女の子が寄ってきた。 友紀「よろしく、私の事は友紀って呼んでもらって構わないから。」 どうせすぐ、居なくなるんだし。 ちらっと斜め前の男の子の横顔を見る。 友紀「夏目だと夏目君とややこしいだろうしね。」 そういうと夏目君はこちらを向いた。 夏目「俺は夏目貴志、よろしく。」 言葉と同時に見せる笑顔。こいつ――――。 友紀「…よろしく。」 こいつ、私の同類だ。 否、こいつの方が私よりマシかも知れない。 笹田「あれ…?なんか2人って似てるわね。」 笹田さんも何かを感じ取ったのかそう言ってきた。 西村「確かに言われてみれば…顔とか雰囲気が似てるな。」 そこで私と夏目君は互いを見る。 確かに見つめれば見つめるほど似ている様な気がしなくもない。 雰囲気だってさっきの笑顔を見れば似ていることが感じ取れる。 友紀「そうかもしれないね。」 夏目「そうかもしれないな。」 あ、今ハモってしまった。 夏目君も少し恥ずかしそうにしている。 なんだろう、今この場所は今までで一番心地がいい。
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