ほんとは、本当は。

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◇ 「あ、雨」 ほんとにおごってくれるらしい先輩がお会計をしている間、先に外に出ると、さっきは降っていなかったはずの雨が降っていた。 「あれ、雨降ってんの?」 あたしの後ろから現れた先輩も、同じことをつぶやいた。 「木崎、傘は?」 「持ってません」 「うわー、女子力低いなー…」 「…否定はできませんがムカつくんですけど」 傘なしではびしょ濡れ確定の激しい雨を見つめながら、 「困ったなぁ」 「困りましたね」 あたしと先輩は、ひだまりみたいな、のんびりした会話をしていた。
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