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「…爽くん…どうして…」
ピンクの傘の持ち主…遥香先輩は、悲しそうな声で呼びかけながら、早川先輩の腕をそっと掴んだ。
「…はる」
「確かに、私から離れたし、自分勝手な理由で距離を置いたけど…っ!!!」
「…落ち着けって、はる」
「私、やっぱり爽くんのこと好きだってやっと、やっと気づいたのに…っっ!!!」
あぁ、あたしの役目はもう終わりなんだ。
早川先輩にすがる遥香先輩の姿をぼんやり見つめながら、あたしはそんなことを考えていた。
鼻の奥がツン、とするけど。
すごくすごく、泣きそうだけど。
“身代わり”のあたしが最後にするべきことは…
「…誤解ですよ、遥香先輩」
笑顔で、ふたりの幸せを、願うこと。
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