ほんとは、本当は。

9/24
前へ
/177ページ
次へ
「…爽くん…どうして…」 ピンクの傘の持ち主…遥香先輩は、悲しそうな声で呼びかけながら、早川先輩の腕をそっと掴んだ。 「…はる」 「確かに、私から離れたし、自分勝手な理由で距離を置いたけど…っ!!!」 「…落ち着けって、はる」 「私、やっぱり爽くんのこと好きだってやっと、やっと気づいたのに…っっ!!!」 あぁ、あたしの役目はもう終わりなんだ。 早川先輩にすがる遥香先輩の姿をぼんやり見つめながら、あたしはそんなことを考えていた。 鼻の奥がツン、とするけど。 すごくすごく、泣きそうだけど。 “身代わり”のあたしが最後にするべきことは… 「…誤解ですよ、遥香先輩」 笑顔で、ふたりの幸せを、願うこと。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加