ほんとは、本当は。

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「ごめん…」 うつむいて謝っても、彼は黙ってる。 「でも、親友の彼氏の家に行くわけにはいかないから」 キッパリ言い切って彼の腕を振りほどく。 背を向けたとき、彼が口を開いた。 「あのさ…」 その続きが気になって、思わず振り返る。 「今、ずぶ濡れで明らかに傷付いた顔して歩いてるお前をほっといたら、陽菜は怒ると思うんだけど」 その一言で、ハッとした。 そうだよ、陽菜はきっと…怒ったりしない。 「でも…」 それでもやっぱり、抵抗はある。 「わかった」 ためらうあたしに、陸くんはめんどくさそうな顔をして。 「陽菜も呼ぶから。なんかあったなら、陽菜に話聞いてもらえば?」 そう言って、傘をあたしに差し出した。
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