ほんとは、本当は。

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◇ 「実咲子!!!!」 陸くんの家にお邪魔して、タオルを借りて体を拭いていたとき。 ものすごい勢いで玄関の扉が開く音がして、ものすごい勢いで陽菜があたしに抱きついていた。 「実咲子、無事!!!!?」 たぶん気が動転している陽菜が、いつもは出さないような大きな声で叫ぶ。 「…だいじょうぶ」 なんて、全然大丈夫じゃないのに笑ってみたら、 「嘘つき」 って、怒られた。 …陽菜にはぜんぶ分かっちゃうんだな。 「あのさ、陽菜」 陸くんがひとつ咳払いをする。 「なに?」 「木崎が心配なのは分かるけどさ。靴くらい、脱いで?」 「あは、ごめーん…」 陽菜の天然さに、思わず笑った。
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