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太陽が傾きかけてきた頃、土の道を駆けていく6歳ぐらいの少女が一人。
目的の場所に着いたのか少女が足を止める。
「おはよー!じゃなくて・・・夕方だからこんばんわ?」
まぶしいほどの笑顔で、君塚由里が少し離れた所にいる人物に呼びかける。
「由里!声が大きいって!見つかっちゃうよ!」
声をひそめながら荒らげる、という器用なことをしているのは呼びかけられた相手である作元輝樹だ。
こちらもまた6歳ほどのようである。
「ご、ごめんなさい・・・」
涙を瞳にため、持っている本を抱きしめながら由里が言う。
「い、いや、大丈夫だから!お願い!泣かないで!」
涙を見た輝樹はあわてて大きな声で由里をなだめる。
「う~。輝君だって大きい声出してる~」
由里が少しむくれて言う。
「・・・ごめん。」
今度は輝樹が謝る。
すると由里がえへへっと笑い「おあいこだね。」と言った。
輝樹は、そんな由里の笑顔が好きなのだ。
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