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一方。佐野大はあっさり見つかった。
香が学食のカフェで、なるべく見知らぬ人を選んで尋ね回ってみたら、本人に辿り着いてしまったのだ。
眼鏡をかけた神経質そうな線の細い青年。あまり人付き合いは好きではないらしい。自分を探し歩いている香に、のっけから不信感満々の目を向けて来た。
まあ、この状況だとそれも止むなしかも知れないとは思いつつ、一応自己紹介をする。
名前を聞いて彼は目を見開いた。とげとげしさがすんなりと消える。
──ということは、彼にも。
「メール……来てました?」
大の周りの友人らしい人々は興味シンシンといった風に2人を見ている。
「……ちょっと話す時間、ありますか」
彼からそう申し出てくれた。悪いけど、と周りに断りを入れて、目で香を誘導する。
香は軽く頷いて大の後に続いた。
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