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「な、何をしているんですか?」
困惑している勇者をよそに、私は聖剣に指をくっつけ続ける。
うん、確信した。
「なぁ勇者」
「は、はい」
「お前、魔力全部失ってるだろ」
「!? そ、そそそんなわけ、なななないじゃないでしゅか!」
わかりやすい奴だなぁ。
こいつ、嘘つけない性格なんだろうな。
「じゃあ何か魔術使って」
「うっ……」
汗が尋常じゃないくらい出てる。
汚い。
「そ、そうですよ!こっちに来たら魔力なくなってたんです!つまり僕は剣を持ってるだけで、そこらへんの一般人と同じなんですよ!何か!?」
私を倒すために魔界から地球に来てみたら魔力がなくなってて、それを悟られないように振る舞ってたけどあっさりバレてしまったのか。
しかも、こいつは魔力なくなったけど、私は少し残ってるときたもんだ。
なんか、かわいそうだな。
「…………ぷっ」
だめだ……耐えられない……。
「あーっはっはっはっは!ぷぷぷぷ!」
「わ、笑ってる場合ですか!?魔力を失っても武器はあるんです!これで魔王を倒す可能性も」
「これでもか?」
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