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「おやなんと云ふ事でせう? 貴女のお陰で僕の、死にたいとまで思っている気持ちでさへも消え去ってしまゐました。しかし代わりに生まれてきた感情の、恥ずかしさと云ったらありません。この様な心持ちでは学校はおろか、自分の部屋からも出られないではなひですか! だが僕は貴女には殺されたくありません」   「私は確かにお前のその、殺してくれという願いの下に現れたのである。が、安心し給え。私は厨房が厨くさい思想を振り撒いているのを見ながら馬鹿にするのが大好きなのだ。よってお前を殺しはしない。存分に厨くさい思想を叫ぶが良ゐ。陰で見守りながら嘲笑って差し上げませうぞ」   「死を覚悟した筈の僕の心ですらいとも簡単に打ち砕いてしまう、お前は一体、誰!?」     「私ですか? 私は……」
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