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あれからどれくらい経っただろう。
部屋には時間を知るすべがないため
どれくらい経ったのかがわからない。
皆自分のことで精一杯なのか、部屋は時より聞こえるため息や弱音を除けばとても静かなものだった。
壁か…。
とりあえず落ち着いて壁をイメージした。そしてそれで自分を囲うイメージに変えた。
「セナ…できてるよ。」
不意に飛び込んできたフミカの言葉に驚き、集中が途切れた。
「なにがだ?」
「レンと一緒のやつ。セナもできてたよ。」
ゆっくりと落ち着いた声が続けて聞こえた。
「私もできた。」
フミカはそう言うと目を閉じたすこしうつむいた。
数秒後、フミカを薄い黄色のなにかが包み込んだ。
真ん丸い目を開き、「ほらね。」と笑って見せた。
「俺にもそれが出来てたのか?」
すこし茶色がかったボブの髪を揺らしながらコクりと頷いた。
「もう一度やってみて。」
言われるがまま、先ほどと同じようイメージをする。
刹那、先には感じなかった全身の毛穴が一気に開くような感覚に襲われた。
驚き目を開ける。
特に変わったら様子もない。
不意にフミカをみると彼女は笑ってまた「ほらね。」と言った。
うん?と自分の身体に目をやっり、驚いた。自分を色は違うがフミカやレンと同じようなものが被っていた。
「あ、青いぞ…。ってこれが障壁か…。」
つい情けない声になってしまった。
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