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長いな…この廊下。 部屋を出てからもうしばらく歩いているのに出口らしきものは見えてこない。 「いつになったらつくんだ?」 あからさまに不機嫌な声で嫌味たっぷりに言ってやった。 『あの角を曲がれば着きますので頑張って下さい。』 大人げない俺とは裏腹にキュウは申し訳なさそうにそう言った。 流石は人工知能搭載しているだけはあるなーと、また嫌味を言ってやろうかと思ったがそこは何とか自制に努めた。 そうこうしているとキュウに連れられた俺たちは廊下の角にさしかかった。 角を曲がり目に入ったのは先ほどまでと変わらない白い壁だった。 「行き止まりじゃんかぁ!」 レンは道を阻む白壁もたれ掛かり項垂れた。 『レンさん…あのぉ―――――』 言葉は届かなかった。 キュウの言葉より前にレンのもたれた壁はシューン、と静かな音を発て真ん中から両サイドにスライドした。
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