始まりは

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空に桜舞う少し暖かい日の話 僕はリビングの大窓の前に置かれた一人掛けのソファの特等席に腰掛け、その背中に春にしては暖かい午前の日差しと爽やかな風を浴びながら、初夏の訪れを感じつつ父さんの残した茫漠とした量の書庫の中から適当な一冊を引っ張り出して何となしに読んでいた あまり意識していなかったせいか中ほどまで読み進めたその一冊を過去に読んだことがある事に今更ながら気付いたものの、そこで頁を閉じるのもなんだか遣る瀬無い気持ちを感じ、むきになって読もうかとも思ったが、春の日差しと共に僕の背を撫でる睡魔に身を委ねようとその本を閉じソファの横に置かれた小さなサイドテーブルにそっと置いた
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