始まりは

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サイドテーブルに置いた本の表紙をひと撫でし、漸く欠伸と一緒に睡魔に降伏の白旗を降ろうとしたその時、廊下とリビングを結ぶ扉が開かれ未だ少々眠たげにその大きなクリクリとしたやや黒目がちな目の下を右手で擦る妹が姿を現れた 特徴的な艶のある烏の濡れ羽色の黒髪は鎖骨が隠れる程度まで真っ直ぐに伸ばされ、血管の浮くような白い肌の妹の小さな顔との綺麗なコントラストを成している 半覚醒状態のせいかこんな朝っぱらにリビングに誰か居ると思っていないせいなのかソファに腰掛ける僕に気づかないで扉のすぐ横にあるカウンターキッチンへとノソノソと入って行ってしまった
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