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―――、
「すっ、
すみませんでしたっ。」
現在、午前1時――、
見知らぬ部屋のベッドで目が覚めてプチパニックになったのが30分前。
「目が覚めた?」
黒縁メガネをかけた主任が部屋着だと思われるラフな姿で急に現れて、自分が主任の家にいることがわかって大パニックになったのが15分前。
「急にぐったりして動かなくなったからびっくりしたよ。もう酔いは覚めた?」
水を私に手渡しながら優しく微笑む主任に、頭の片隅にあるぼんやりした記憶が段々蘇ってくる。
…あ、あれは夢じゃなかったの?
酒に酔った上の失態に、パニックを通り過ぎ放心状態に陥ったのが5分前。
そして、我に返ったのが数秒前で、慌てて主任に頭を下げた。
「そんなに謝らないで。」
主任はそう言いながら私の頭を数回ポンポンと優しく撫でる。
「…主任。」
主任の優しさに胸が痛いほど締め付けられる。
「あんな風に酔った岬さんを見られるなんて貴重な体験、こっちがお礼言わないといけないよ。」
私の顔を覗き込んで、あの暑い夏の朝を思い出させるような主任の口調と笑顔に一気に全身が熱くなる。
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