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主任の行動に驚き、涙で滲んだ目を見開く。
「岬さんは涙まで甘いね。」
涙で霞む視界の先にいる主任が、優しく微笑んでいる。
「しゅ、にん…?」
なんで、主任はこんな、こと…?
さっき、まいったなって言ってたのに…。
あ…、もしかして、私が泣いた、から…?
泣く私を見てかわいそうに思った…?
…同情で優しくしてくれるの?
私がほしいのは、あなたの全て。
私だけを見てほしい。
私だけに触れてほしい。
涙で滲む私の瞳を主任が真っ直ぐに見つめ、私の頬を両手で包みこんだ。
「 …まだ、わからない?
俺は、岬さんしか見てないよ。
あの夏の朝から……、
…いや、初めて会った時から、ずっと。 」
主任が慈しむような瞳で私を見つめる。
「そんなの…、嘘っ。」
だって、私ずっと朝待ってたのに、主任1度も来てくれなかった。
主任の言葉が信じられずに、主任の手を振り払い首を横に振る。
「…嘘じゃないよ。
岬さんを初めて見た時、その清楚な姿と女性らしい仕草から目が離せなかった。」
主任は、戸惑う私を優しく胸に抱きしめて落ち着かせるように背中をトントンとながら話し始めた。
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